次世代LTE技術に見る、ラスト1マイルの構造変化

ネットワーク技術における「ラスト1マイル」という用語がある。
法人・個人問わず、一般的にインターネット回線を建物内に引き込もうとした際に、
最寄のNTT局舎から該当の建物まで、どのように回線を接続していくか?という話である。
かつては電話回線を使用したダイアルアップ接続やISDN、近年ではADSLやFTTHが用いられているが
これらの論理的接続構成は、ISP幹線から最寄のNTT局舎までは基本的に変更されておらず
最寄のNTT局舎から回線を引き込みたい各建物までの通信媒体が変わっているだけである。
(この、最寄のNTT局舎から各建物までの距離が概ね1マイル =約1.6km であることから、ラスト1マイルという用語が生まれている)

さて、上記で触れた通信媒体は全て、物理的な配線を伴う有線接続であるが
近年、これらの有線接続を置き換える可能性があると目されて来たのが、携帯電話の通信規格であるLTE、及び
無線LAN規格を長距離化させたWiMAXである。
現在の主流規格であるLTE-Advanced、WiMAX 2+では、それぞれ有線回線…特にFTTHを置き換えていくには
安定性、実行速度等にまだ劣る面があり、あくまで外出先で使用するモバイル回線としての役割を担ってきた。
しかしながら、今年中の仕様策定を目標として整備されつつある、LTEの後継規格である5th Generation(通称:5G)の
具体的な仕様の煮詰まりと市場投入の目処が見えてくるにつれ、5Gは俄然既存有線回線のリプレース手段として
現実味を帯びてきたのである。

というのも、5Gは最高伝送速度で約10Gbit/s、平均転送速度でも約100Mbit/s、遅延が1ms以下で仕様策定されている。
これらは既存のLTE回線はもちろん、個人用FTTH回線のスペックをも完全に上回る形となっている。
しかも無線化されているということは、有線回線の新規開設/移転時にどうしても発生する物理工事の制約から
ユーザー側が開放される、というメリットも当然ながらついてくる、ということである。
この辺りは、既存のモバイル回線で謳われる「工事不要・即日開通」の強みがそのまま持ち越される。

各種キャリアなどによると、5Gのサービス提供は2020年頃が目標とされている。
もちろん、サービス開始当初から上記カタログスペックが全て実現できるかと言われれば当初はスモールスタートで
始められるとは思われるが、それでも特に個人回線用途では、現状ではオーバースペックとも言える(注1)回線帯域が
ラスト1マイル間を全て無線化された状態で使用出来る…と考えると、利便性は非常に高いと言えるであろう。

果たしてクライアント側でここまでの回線帯域に対応出来るHW側処理が一般化出来るのかであったり
バックボーン側の増速増強は間に合うのか、そもそもこれらのスペック回線を必要とするコンテンツ自体が
登場してくるのか、などといった懸念点はあるものの、2020年を境目に現在のラスト1マイルの接続構成は
大幅に勢力図が塗り替えられる状況が訪れるかもしれない。
注1:サービス開始予定となる2020年でのデータトラフィック量を考慮しない場合。
考慮する場合、2010年と比較して1000倍以上と想定されるトラフィックが
主に5G回線を使用して発生すると試算されている。

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